遺族年金と一口に言っても種類があります。一つ一つ確認していきましょう。

もくじ

遺族基礎年金

国民年金に加入している人が対象の遺族年金です。20歳以上で国民年金保険料を支払っている、または免除申請している自営業者やアルバイト、厚生年金に加入しているサラリーマンが該当します。つまり国民年金保険料が未納の方以外が該当するということですね。未納の方は支払うか免除申請しましょうw

加えて国民年金加入期間(20歳から現在まで)のうち3分の2以上の期間で国民年金保険料払い済みじゃないと遺族基礎年金はもらえません。例えば現在29歳の人であれば20歳から29歳までの9年間のうちの3分の2である6年分以上は国民年金もしくは厚生年金保険料を支払っていないといけません。サラリーマンであれば厚生年金保険料を給与から自動的に支払っているのでほぼ問題ありませんが自営業やアルバイトであまり国民年金保険料を支払っている記憶が無いような人は注意が必要です。

そして遺族基礎年金を受給できる人は18歳未満の子を持つ配偶者です。18歳未満の子がいない配偶者は遺族基礎年金をもらえません。受給できる額は以下の通りです。

  第一子 第二子 第三子以降
年額 779,300円 224,300円 224,300円 74,800円
月額 64,941円 18,691円 18,691円 6,233円

平成29年度の金額です。例えば妻と子一人の場合は779,300円+224,300円=1,003,600円となります。月額だと約83,630円です。ちなみに妻がいない場合、第一子が779,300円受給することになり他に子がいなければそれで終わりです。そして受給者が配偶者であれ子であれ18歳未満の子がいなくなったら以後受給されなくなります。

遺族厚生年金

社会保険に加入している(厚生年金保険料を払っている)サラリーマンやアルバイトの方が対象の遺族年金です。遺族厚生年金は遺族基礎年金と比べると受給対象者や受給額が違い少々複雑です。受給条件は遺族基礎年金と同様に国民年金加入期間(20歳から現在まで)のうち3分の2以上の期間で払い済みじゃないと遺族厚生年金はもらえません。一般サラリーマンで離職期間が長く、その期間中に国民年金保険料が未納の人は注意が必要かもしれません。

遺族厚生年金を受給できる人は妻、18歳未満の子、55歳以上の夫となります。遺族基礎年金と違い子のいない妻でも受給可能です。しかし主たる生計者が妻の場合、夫は55歳以上じゃないと遺族厚生年金をもらえません。男は働けということですw

そしてもうひとつ特別な条件がありまして、30歳未満の子がいない妻はもらえる遺族厚生年金が5年間に限定されます。子供がいなければ若いんだから女性も働きなさいということですねw受給期間は子を持つ妻なら一生涯、子は18歳まで、夫は60歳から一生涯となります。

受給できる金額は死亡者の給与によりけりですが、老齢厚生年金の4分の3が受給額となります。老齢厚生年金は65歳以降もらえる年金のことですね。本来、老齢厚生年金は国民年金保険料支払い期間が25年以上なければ受給できません。つまり45歳未満の人はまだ老齢年金受給資格が無いから計算できないじゃん!となってしまうところですが特別措置があり、国民年金加入期間が25年未満の人は現在の水準で25年間、厚生年金保険料を支払ったと見なした金額で計算することが出来ます。

例えば大学卒業後22歳で就職し、30歳で亡くなった場合、厚生年金保険料支払い期間は8年間(96ヶ月間)ですが残り17年分(204ヶ月分)は現在の水準で支払ったことになります。では具体的な金額を算出します。毎年郵送されてくる「ねんきん定期便」にはこれまでの厚生年金加入期間これまでの加入実績に応じた厚生年金額が書いてあります。まず加入実績に応じた厚生年金額を厚生年金加入期間で割り、その計算結果に300ヶ月(25年分)を乗算すると現在の水準で25年間厚生年金保険料を支払った場合にもらえる老齢厚生年金の額がわかります。そこからさらに4分の3を乗算すると遺族厚生年金の額がわかります。

遺族厚生年金=これまでの加入実績に応じた厚生年金額÷これまでの厚生年金加入期間×300×0.75(4分の3)

仮に老齢厚生年金が20万円、加入期間が10年の人が亡くなった場合は以下の計算式になります。

  1. 200000÷120=1666
  2. 1666×300=499800
  3. 499800×0.75=374850(年額)
  4. 374850÷12=31237(月額)

こうして見ると遺族厚生年金、案外少ないですね…

中高齢寡婦加算

遺族厚生年金にはもうひとつ受給できるもの、中高齢寡婦加算があります。これはわかりやすく受給できる人は妻のみです。40〜65歳までで18歳未満の子がいない、または子が18歳以上になっている場合に年額584,500円(平成29年度)もらえるというもの。簡単に言ってしまえば40〜65歳の間で遺族基礎年金がもらえない妻が対象ということですね。中高齢寡婦加算があるので遺族厚生年金は家族構成によってもらえる額が変わります。少しややこしいですね。

核家族のケーススタディ

32歳の夫、30歳の妻、10歳の一子、9歳の二子がいる家庭で主たる生計者の夫が亡くなった場合の遺族年金受給額を表で見てみましょう。条件は以下のとおりとします。子供を生むのが比較的早いとかは気にしないようにw

  1. 夫の厚生年金加入期間は10年
  2. 夫の加入実績に応じた厚生年金額は20万円
  3. 妻は夫の扶養に入っていた
  4. 老齢基礎年金額は平成29年度の金額(779,300円)を参照
妻の年齢 遺族基礎年金 遺族厚生年金 中高齢寡婦加算 妻の老齢基礎年金 合計年額 合計月額
30〜37歳 1,227,900円 378,450円 0円 0円 1,606,350円 133,862円
38歳 1,003,600円 378,450円 0円 0円 1,382,050円 115,170円
39歳 0円 378,450円 0円 0円 378,450円 31,537円
40〜64歳 0円 378,450円 584,500円 0円 962,950円 80,245円
65歳以降 0円 378,450円 0円 779,300円 1,157,750円 96,479円

妻が38歳になる年に第一子が18歳になり遺族基礎年金のこの加算が一人分減ります。39歳になる年には第二子も18歳になって18歳未満の子がいなくなることにより遺族基礎年金の受給資格が無くなりますが40歳から64歳までは中高齢寡婦加算の受給要件を満たします。65歳以降は中高齢寡婦加算の受給資格を失いますが同時に妻の老齢基礎年金の受給が始まります。このように家族構成や主たる生計者の死亡時の年齢で遺族年金の受給額が増減します。

遺族年金受給額の把握は必要保障額計算の第一歩

遺族年金の受給額を算出しただけでは遺族の必要保障額はまだわかりません。他にも考えるべき事柄が多数あります。しかし遺族年金の受給額を把握できないと適正な保障額の死亡保険に加入することは非常に難しいと言わざるを得ません。逆に言えばここをクリアすれば他に考えるべき事柄はもっと簡単なので遺族年金の受給額が把握できれば遺族の必要保障額の7割はわかったも同然です。生命保険の見直しをする、もしくは加入を考えている方は是非とも遺族年金の計算をしてください。無駄な生活コストを省く楽しい作業になるはずです。

「ねんきん定期便捨てちゃったよ!!」という方は日本年金機構のねんきんネットの活用を検討してみてはいかがでしょう?ユーザー登録すると加入履歴や未納期間の確認、ねんきん定期便の閲覧がいつでも可能になります。私も登録しています。年に1回見るかどうかですけどねw