もくじ

保険はおかしい。何がおかしいって令和の時代になった今でさえノリで加入している契約者がたくさんいるのがおかしい。保険に入るか入らないかの議論は熱心なのだが内容の吟味は他人にぶん投げるのがまたおかしい。そりゃー「ノルマがきつくって」な販売員の好き勝手にされてしまうのもある程度は仕方ないのかなと元保険代理店(かんぽ生命ではない)の私は思いますですよっと。といわけで最近ホットなかんぽ生命の不祥事が保険を買う際に気をつけるべきポイントをわかりやすく教えてくれているので、不祥事案毎に見ていきましょう。保険内容については言及しませんので悪しからず。契約者がそれぞれどんな内容の保険に入ってるかなんてわからんからね。

非常に文章が長くなるので先に結論を述べると「更新型はやめろ」「人を選ぶのではなく保険を選べ」「使用用途が明確な保険だけ買いたければ買え」です。

乗り換え契約はほぼ販売員の提案からしか発生しない

というか大体の人は乗り換えという言葉自体知らない。かんぽ生命の不祥事ではこの乗り換え後の契約内容が契約者にとって不利益を被る内容であることが大量発覚し、中には契約者の健康状態等により審査が通らず乗り換えが出来なかったのに既存の契約を解約してしまい無保険状態だったというケースも大量発覚しましたよーというもの。また意図的に無保険期間を作っていた等など。

※参考…かんぽ生命、契約者がチェックすべき「詐欺的手口リスト」総まとめ…高齢者をターゲット

一般的には生命保険契約を乗り換えるための手順としては新契約締結完了→既存契約の解約もしくは減額となります。この順番ならもし新契約が健康上の理由で締結できなかったとしても既存の契約を解約せずに残しておけばいいだけですからね。が、かんぽ生命の一部の販売員は販売成績の都合で無駄な乗り換え契約を促したりわざと三ヶ月間の無保険期間を作っていたようです。具体的には既存の保険と新契約の重複期間が6ヶ月以上なければ新契約の成績が半分になる。また既存契約解約後に新たな契約を締結する場合は解約から3ヶ月経過していない場合は成績が半分になるという仕組みだったようです。なので販売員は成績が良くなるように契約乗り換えの際にわざと3ヶ月の無保険期間を作ったり既存契約の解約を遅らせたりしていたとのこと。なかなかの外道ですねw

しかし契約者が無保険になってしまうことで販売員にデメリットは無いのか?とも考えてしまいます。一般的な生命保険会社の販売成績は契約後2年の間に解約されると成績が無かったことになります。おそらくかんぽ生命も同様だと思うので契約してそこそこ年数が過ぎた契約者に対してしか行わなかったんじゃないかな?もしくは更新型契約の更新時期ですかね。それでも一般的な保険代理店であれば契約内容に係るクレーム数が一定割合を超えると保険会社のコンプライアンス部門から注意を受けたり代理店手数料の減額がされる、最悪は代理店委託契約を解約される場合があるので本来最も慎重を期する部分ではあるのですが、かんぽ生命の正社員販売員がコンプライアンス違反を繰り返してどのようなデメリットがあるのかは不明です。何にせよ不利益契約件数や無保険状態にされた契約者の数が異常であることは確かなので会社側も暗黙の了解があったのかもしれません。

そもそも販売員から乗り換えの提案があるタイミングは10年更新の保険の更新時期以外無いと思われます。他にあるとすれば保険料と契約者の収入の折り合いがつかなくなって減額或いは解約のどちらか。私は約10年間、保険代理店の仕事をしていましたが契約者から乗り換えの相談を受けたことは一度もありませんでした。私が抱える顧客数が少ないだけかもしれませんが他の代理店仲間からも相談があった話は聞いたことがありませんでした。基本的に代理店は契約者に文句を言われることを嫌います。何がクレームに繋がるかわからないし遠い過去に契約したものに対してクレームを付けられるとものすっごい気持ちが疲れますw仮に契約者が契約当時に10年更新契約を望んで締結手続きしたとしてもいざ更新時期が来て保険料が跳ね上がる旨の通知が来ても「話が違う」とクレームを付けられる可能性があります。どうやら人間の脳は都合の悪い情報を否定するようにデザインされているそうなので、10年後の保険料のことは無視しいざ更新の時期になると予定されていた値上げを拒むというのは自然なことなのかもしれません。

※参考…人間の脳は、極度に都合の悪い情報を否定する

そのようなクレームを100%避けることは非常に難しいですが参考資料として保険提案時に10年後、20年後の保険料の推移がわかる資料を提示する等の対策は出来ます。保険料の改定があるので更新時に資料ピッタリの数字が出てくることは少ないでしょうがその資料を差し上げて代理店もコピーを取っておけば、万が一更新時にクレームを入れられたとしても説明した証拠を少しでも残すことが出来ます。というか普通の代理店はそうしています。契約書類の控えだけでは説明した証拠としては不十分です。顧客が説明を受けて納得した旨を署名する意向確認書等はありますが形骸化していると言っていいでしょう。

そんな感じで10年更新型の保険は非常に後味が悪い契約の仕方です。ですが更新型の保険は売る側の懐に入る額が多いオイシイ商品であるという側面もあります。終身死亡保険は払込期間が終了した時点で死亡しても解約しても契約者が数字上得をするのが確定しますが、更新型の定期保険や医療保険は解約返戻金はほぼ無いし期間満了したら保険が消滅するだけなので人間の死亡率や大数の法則に則ると保険会社が儲かる率が圧倒的に高いです。保険会社が儲かる=販売員に払えるインセンティブが増えるということで買い手はギャンブル、売り手にとっては非常に手堅い商品であると言えますね。ちなみに外貨建て商品も似たような性質の商品だと個人的には思います。先ほど紹介したリンクにもあるように更新後の保険料値上げを許容できる脳を持つ人は少ないでしょう。では何故苦情を受けやすい商品を薦めるかと言えば最初から乗り換えさせる気で売るからに他ありません。

10年更新型の保険加入者の末路は3つです。解約するか終身もしくは30年など期間の定まった保険に切り替えるか、途中で病歴を作ってしまい新たな契約を結べずに泣く泣く更新するか。個人的には無保険でいいじゃんって思ってしまいますが大多数の人は保険がある安心感とそれ以上値上げしない安心感のダブルパンチで終身型に切り替えることでしょう。つまり更新型の最初は安い保険を売ることで一人の人間に対して同じ保険を2回売れるチャンスが生まれるのです。どうやら「更新型の保険料の値上がりをどうにかしたい」という保険の相談内容は割とポピュラーなものであるようです。

※参考…保険相談・苦情件数の動向を分析してみた

残念ながら相談しても保険に加入し続けるという選択をしている限り保険料の値上げか保険金額の減額かの二択しかないでしょう。というわけで改めまして保険を買う際の注意点は「更新型を薦めてきた奴に聞く耳を持つな」です。更新型の保険は最初から10年以内に解約する前提の人以外はまず必要ないでしょう。他には自殺する予定のある人とか当たり屋くらいしか思い付きません。ちなみに「生保レディー」とか「生保のおばちゃん」とか言われる人が更新型の保険を企業の昼休みに訪問して売ろうとしてくるのは、売ったらもう会わなくていいからです。クレームや解約手続きは専用窓口へどうぞって感じです。むしろ生保レディーはおそらく更新型を売らないとまともに稼げないです。金持ってる中小企業の社長さんでも捕まえられれば別ですが。

誰から買っても保険の質は変わらない

今回のかんぽ生命の不祥事が他の生命保険会社の不祥事と大きく違う点は郵便局ブランドとかいう謎の信頼要素があったこと。特に高齢者に効果てきめんらしいですよ。不祥事発覚前は郵便局とのお付き合いという理由だけで保険加入してくれる人がいたようです。

※参考…「かんぽ生命」の「信用」「安心」は本物か?

さすがに郵便局ブランドが無ければかんぽ生命はここまで不正契約できなかったんじゃないかと思われます。確かに郵便局は固いお仕事なイメージがあるのは否定しません。民営化前は国の機関だったし社会インフラっぽいですしね。しかし販売元のイメージが良いのと顧客の扱い方はまた別の話だねというのが今回の不祥事で明るみになりました。ノルマ達成やインセンティブのためにはむしろ郵便局ブランドを隠れ蓑にして私文書偽造でもなんでもやるぞっていう考えに至る人が発生するのが正常なようです。

※参考…サインの筆跡を記憶して転写できるペンに気をつけて!という話

このリンクは大袈裟に捉えられるかもしれませんがかんぽ生命を抜きにしても保険って買い方の基準が他のものと違うんですよ。売る人がどういう属性を持っているかで中身を確認せずに保険を買う人が非常に多い。親の友達だから、親が長年お世話になってる人だから、自分の友達だから、職場によく顔出しに来るから、郵便局員だから等など。それらの人から保険を買うのは別に間違いではないけれどどんな人から買うにしても詳細な自分の希望が無い限りテンプレ通りの保険を提案されて終わりです。結局は誰が信頼できそうかなと吟味してる時点で望んでいる内容の保険に出会う確率は低くなります。というわけで注意点その2は「人を選ぶのではなく保険を選びましょう」です。誰から保険を買っても約款記載の内容は変わりません。「◯◯さんから買う保険はくしゃみしただけで保険がおりるよ!△△さんから買うとすぐに解約できなくなるよ!」なんてことにはならないのです。それに各保険会社で手続き専用の窓口があるので保険内容が自分にとって適切であれば誰から買っても後で困ることもありません。

理解できる範囲内の欲しい保険だけ選んでいれば問題なし

生命保険は複雑である、どんどん複雑になっているという意見を耳にする一方で、生命保険はシンプルなものだけでいいという考え方も徐々に広がっている昨今な気がします。実際には生命保険は複雑なわけではなく付帯できる特約が多いだけです。保険金の支払い方法も支払い要件に応じて一時金か定額か実費負担分のどれかなので明瞭会計です。むしろ身近に感じる自動車保険等の損害保険の方が時価や賠償という要素がある分複雑でデリケートだと思います。しかし自動車保険は事故をやっちまった時の経済的損失が甚大なことが非常に多いので自ずとそれをカバーしようと思うと実質的な選択肢が車両保険を付けるか付けないかくらいに収束するのであまり迷わない=複雑というイメージを持ちにくいだけな気がします。

生命保険は本来もっともシンプルです。死亡保険は死んだら保険金がもらえる、それだけです。事前に病歴の嘘がなければ誰かをめっちゃ恨みながら死んだら保険金がもらえないなんてこともありません。自殺でも大丈夫です。飲み過ぎて死んでも大丈夫です。自動車保険は故意や飲酒では約款で弾かれます。複雑に感じさせる要素があるとすれば医療部分です。医療保険やそれ系の特約は病気毎に保険金支払いの上乗せをします。それらを組み合わせようと思うとかなり選択肢が広がります。しかしもしかすると生命保険の選択肢の多さはちょうど思考を鈍らせるのにちょうどいいくらいなのかもしれません。

※参考…心理的トラップ:選択肢がたくさんあるとむしろ選べなくなる

人で保険を選ばないようになったらあとは欲しい保険を欲しくなったら買うだけです。脳卒中になった時にお金がもらえないと不安でしょうがないと思ったらその時に初めて三大疾病の特約について考えればいいです。人によって不安に感じる部分は違うので、自分が欲しいものだけ自分で考えて買うかどうかを選ぶのが正しい消費行動だと私は思います。何が必要かわからないならそれは必要ないものです。老後2000万円問題が少し前に話題でしたが、老後に絶対に2000万円の貯金が必要なわけではありません。5000万円無ければダメな生活をしている人もいれば1000万円あれば十分な生活の仕方をしている人もいます。ライフスタイルのような個別の事案にテンプレを持ち込むのは違うんじゃないかなと思います。要は保険を重く捉えずに、パンを食べたいからパンを買うのと同じような気持ちで保険を買えばいいのです。「みんな空腹の不安でパン買ってるからアナタもパン買いましょうよ!」みたいなこと言われて保険を買うのは散財でしかありませんよ。

あんまりかんぽ生命と今回の主張を絡ませることが出来なかった

長々と書いておいてなんだけど、思ったよりもかんぽ生命の不祥事と保険加入における注意点が絡まなかったwww不利益契約の方を重視したけどさ、どちらかと言うと同じような終身保険を認知症の高齢者に11本も加入させるとかのゲロ以下の臭いをプンプンさせてる系の不祥事がインパクトでかすぎでしょー!!しかも契約者貸付で払わせるとか思い付いても怖くなったり良心の呵責で出来ねンだわ。普通は。

※参考…認知症女性がかんぽ生命に月25万円以上の保険料 担当者が開き直り

そもそもかんぽ生命に商品力があったらそんなんしないでも契約数増えるわけで、他の保険会社と比較すると内容が悪かったり高かったりで売れなかったってことでしょ?劣るものが市場から消えていくのは自然淘汰で良いことなんだから、人様に迷惑かけてないでさっさと潰れなさいってお話でした。やー長かった。